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2014年5月21日 水曜日

私の読書日記19

 

約束の海

山崎豊子

t20140521この本は山崎豊子の絶筆となった作品です。

 昨年9月に亡くなった山崎豊子は、主に社会問題となった大きなテーマを扱い、そのほとんどが長編でした。多くの小説がドラマ化、映画化され、皆、話題を集めました。

 私自身、学生時代に「華麗なる一族」を読み、金融がどういうものかを知り銀行に入るきっかけになりました。また、「大地の子」では、中国残留孤児の苦悩が描かれ「ふれあいタイムズ」でも触れたのですが、原作だけでなくドラマにも何度も涙しました。

 「約束の海」は1988年に起きた、海上自衛隊の潜水艦「なだしお」(この小説では「くにしお」)と地元の漁船との衝突事件を題材に、「日本の平和と安全」や「自衛隊の存在」はどうあるべきか、という大きなテーマに正面から取り組もうとした小説です。

 小説は3部構成で、第一部が「潜水艦くにしお編」、第二部が「ハワイ編」第三部が「千円の海(仮題)編」という構想のようでしたが、残念ながら、第一部のみの完成で第二部、第三部は構想のみで未完となりました。

(あらすじ)

 時代は1989年(なだしお事件とは1年ずらしてある)。主人公は潜水艦「くにしお」の乗組員、花巻朔太郎、28歳。愛知県豊田市出身、父は元海軍少尉で現在、自動車会社役員。父は戦争のことを語らないので、その影響で自衛隊に入った訳ではなく、第一志望の大学に落ちたから防衛大学に入った。

 「くにしお」が東京湾沖を航海中、地元漁船が接近し衝突し、漁船は2分で沈没。多くの乗客が海に投げ出されたり、船中に閉じ込められ死亡する大惨事となった。

 この時、衝突の原因が「くにしお」側にあるとする報道や、「くにしお」の乗組員は溺れている乗客を助けようとせず傍観していたとする報道が相次ぎ、自衛隊バッシングが展開する。その後の海難審判(海上の事故原因を認定する裁判)で、漁船の側に回避義務があったのにそれをしなかったことや、「くにしお」乗組員が救助せず傍観していたとする目撃証言はマスコミの“やらせ”だったことが明らかになっていったが、世間に認知されることはなかった。

 衝突時、乗組員として運行の一端を担っていた花巻朔太郎は自分自身の責任を感じ、自衛隊を辞めようと決意する。

(第二部、第三部の構想)

 第二部は、自衛隊にとどまった朔太郎がハワイへ行き米軍の研修を受けるのだが、ハワイに戦争中の父の記録があることを知る。父は、真珠湾攻撃時に魚雷を乗せた特殊潜航艇「甲標的」の乗組員であり、10人で出撃し9人が戦死する中ただ一人助かり、アメリカでの日本人捕虜第一号となった花巻和男であった。この後、花巻和男の捕虜生活を中心に彼の苦悩が描かれる予定であった。

 第三部は、現在の日本。朔太郎は潜水艦の艦長となり、東シナ海を航海中、中国の不審船と遭遇する。尖閣諸島の問題など今眼前にある危機に対し、どう対処するかなどが描かれる予定であった。

(感想)

26年前のなだしお事件を挟んで、第二世界大戦から現代まで時間軸を長くとる壮大なスケールの小説です。尖閣問題などで緊張感が続く近隣諸国との関係、集団的自衛権で揺れる憲法解釈など、日本の平和をめぐる問題は山積しています。

 未完のまま終わったのは誠に残念ですが、第一部だけでも、これらの問題を充分考えさせられる小説でした。

(M.T@総務部)

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