2014年4月19日 土曜日
私の読書日記(18)
グリード(上)(下)
真山 仁
真山仁の「ハゲタカ」シリーズ最新作です。
「ハゲタカ」は、2007年NHKの土曜ドラマ枠で放映され好評で、同じキャスティングで映画化もされました。主演大森南朋のクールな演技が話題を呼び、その後NHK大河ドラマ「竜馬伝」武市半平太役への起用につながって行ったのではないか、と勝手に思っています。
(あらすじ)
「ハゲタカ」とは、経営が悪化し破綻寸前になった企業を、安く買いたたき再建した後、売りさばいて転売益を稼ぐ投資集団のこと。主人公鷲津政彦はアメリカの投資銀行出身。独立して投資ファンド「サムライキャピタル」の社長として幾多の企業買収に関わってきた。NHKドラマの中では、日本の老舗旅館や玩具メーカー、総合電機メーカーなどの買収劇が演じられている。
今回の小説のタイトル「グリード(GREED)」とは強欲の意味。この小説で鷲津は自らを育ててくれたアメリカに乗り込み、アメリカを代表する大企業「アメリカンドリーム(AD)社」の買収を目論む。それを阻止しようと立ちはだかるのが、市場の守り神と呼ばれるほどの財力を持つサミュエル・ストラスバーグ。サミュエルはFBIにも影響力を持つ巨人で、警察力をも利用し鷲津を妨害する。
「食うが食われるか」「やられたらやり返す!倍返しだ!!」という半沢直樹にも似たバトルがアメリカを舞台にして展開される。
(感想)
シリーズがドラマ化されていますので、頭の中で鷲津政彦を大森南朋にキャスティングし、映像化して読めるのがとても楽しいところです。証券業界の専門用語がたくさん出てきて難しいところもありますが、サブプライムローンの問題やリーマンショックがなぜ起こったのか、その背景がよくわかり、そういう意味でも勉強になります。
グリード(強欲)とは資本主義の本質でもあり、経済発展の推進力でもあります。そしてそれを体現しているのがアメリカです。そのアメリカに挑戦する鷲津。彼は強欲を賛美しているのか批判しているのか。矛盾に満ちた鷲津もなかなか魅力的です。
(T.M@総務部)