私の読書日記26

2015年2月2日 月曜日

風に立つライオン

さだ まさし

  201502011私の大好きなシンガーソングライター、さだまさしが1987年に作った歌をモチーフに、2013年に自ら小説化したものです。

 歌の方の「風に立つライオン」は、アフリカのケニアに派遣され、現地の住民や子供たちの病気の治療に取り組む若い医師が、かつて恋人だった女性から結婚をするとの手紙をもらい、その女性に返信する手紙の中で、ケニアの自然の偉大さ、子供たちの澄んだ心、ケニアで医療に携わることの使命感を綴る、という設定です。多くの医師や外国で働く日本人たちの間で愛されている曲です。

 201502012この曲の大ファンであった大沢たかおが、さだまさしに懇願し小説化が実現しました。そして彼の主演で映画化されこの3月公開予定です。是非、観に行って頂きたい映画です。(映画公式サイト http://kaze-lion.com/

(あらすじ)
 1987年長崎大学病院の医師、島田航一郎は仲間の医師とともにケニアの病院に派遣される。子供の頃、シュバイツアーに憧れて医師になった航一郎はアフリカの地で現地の住民たちのために働きたいという夢を持っていたため、志願しての派遣であった。その時恋人であった、秋島貴子は長崎の離島で地域医療に従事しており、地元の住民を見捨てて航一郎についていくわけにはいかなかった。
 現地へ着いて目にしたものは、内戦で負傷した多くの兵士たちであり、助かる見込みのある病人を優先して治療し、見込みの少ない病人は見捨てざるを得ない現実だった。中には、少年兵も多くいた。
 その中に、決して周囲のスタッフや子供たちにも心を開かない少年、ンドゥングがいた。ンドゥングは反政府軍に村を襲われ、父母を目の前で殺されていた。その上、捕らわれ少年兵とされ、9人の相手を殺してきていた。それが彼の心の闇だった。航一郎はンドゥングに対し、何とか心を開かせようと決意し、明るくそして粘り強く接し続ける。

(感想)
 歌の方はケニアでの話だけですが、小説は1991年のケニアから20年後の日本に舞台が移ります。2011年の震災後の日本です。ケニアにいて日本の震災の報に接したンドゥングは、すぐに日本に飛びます。それは自分の心を開いてくれた航一郎の恩に報いるため、日本からの支援にお返しをするためです。
 医師になっていたンドゥングは日本で多くの命を救います。航一郎によって救われた命が日本で別の人の命を救うのです。そしてンドゥングによって救われた命がまたいつか誰かの命を救う。そんな「命のバトン」がこの小説のテーマです。
 読んで泣くこと必定。絶対にお薦めの一冊です。全編に亘って関係者のインタビューまたは手紙・メール文、つまり語り口調で構成されていますので、すごく読みやすい本です。文庫版もあります。

(M.T@総務部)